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おんな城主 直虎。織田信長の生涯と大河ドラマの歴代の織田信長について。

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「鳴かぬなら 、殺してしまえ、ホトトギス」の織田信長。

尾張の大うつけ、三英傑の一人、第六天魔王、たくさんの呼び名がある有名な戦国武将です。

ドラマチックな生涯、多くの逸話がある人物です。

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過去の大河ドラマでも題材にされたことは2度、他の作品でも織田信長は重要人物として多く登場しています。

今回は、織田信長の生涯を再確認しつつ、過去の大河ドラマにおける「織田信長」像の比較をしてみましょう。

目次

織田信長の生涯

それでは、簡単に織田信長の生涯を振り返ってみましょう。

若かりし頃の織田信長

1534年、織田信長は清洲三奉行の一人であった織田信秀の次男として生まれましたが、正室・土田御前から生まれたため、嫡男として育てられました。

幼い頃から奇妙な行動、武家らしからぬ言動が多く、「尾張の大うつけ」と称されていました。

美濃のまむし・斎藤道三との和睦が成立すると、娘の濃姫を正室に迎えました。道三は、正徳寺で信長と会見する前、派手な身なりで鉄砲を担ぎ行列する信長一行を覗いており、これが大うつけ、と感じたものの、正徳寺に正装で現れた信長を見て、その器量を見抜いた、という逸話もあります。

1551年、父・信秀が亡くなると、嫡男の信長が家督を継ぎました。その葬儀の際、抹香を仏前に投げつける、という有名な逸話もありました。教育係だった平手政秀は、信長の奇行を諌めるため自害、それを嘆いた信長は、政秀の御霊を弔うため、沢彦を開山として政秀寺を建立しました。

戦い続ける織田信長

その後の信長は、激しい戦が続きました。

織田の庶流家だった信長は、当主家だった織田大和守を滅ぼし、織田氏の頭領になりました。さらに、旧主・織田大和守の宿敵、織田一門の宗家である尾張上四郡(丹羽郡・葉栗郡・中島郡・春日井郡)の守護代・尾張伊勢守家(岩倉織田家)を破り、尾張を自らの国としました。

1559年には足利義輝を足がかりに上洛を果たし、幕府・朝廷に名を印象づけました。

尾張統一後は桶狭間の戦いで今川義元を破り、次の攻略のために清洲城から小牧山城へ居城を変えて進軍します。

義父・斎藤道三を葬った美濃とは、関係が悪化します。妹のお市の方を北近江の浅井長政に嫁がせるなど同盟を作りつつ斎藤氏を牽制、美濃攻略に乗り出します。そして尾張・美濃を平定し、井ノ口を岐阜と改め、居城も岐阜に移しました。

幕府も混沌を極めており、1565年、13代将軍・足利義輝が三好三人衆(三好長逸・三好政康・岩成友通)に暗殺され14代将軍として足利義栄が立ちました。足利義昭は、六角義賢や和田惟政に協力を依頼し、全国の諸大名に三好氏の討伐と自身の将軍擁立を呼びかけました。信長はその要請に応え上洛しようとしました。その際、美濃の斎藤龍興が停戦を破り、六角氏も離反したため、一時、上洛は危ぶまれましたが1568年、15代将軍に足利義昭を擁立しました。

背後を固めるため、周辺国との同盟も行いました。武田信玄の4男・諏訪勝頼(後の武田勝頼)と信長の養女(遠山夫人)とで婚姻関係を結び、遠山夫人が早世すると、さらに信長の嫡男・信忠が信玄の6女・松姫を娶り、友好関係を持続させ、武田との戦いを避けました。

1569年、足利義昭の仮御所が三好三人衆と斎藤龍興ら浪人衆に襲撃されると、美濃に帰還していた信長は2日で駆けつけるという機動力を見せました。もっとも、織田軍の武将により、信長の到着以前に勝敗はついていました。これを機に信長は足利義昭のため、二条城を築城。同年、但馬国の山名氏を破り、生野銀山を制圧。同時期に伊勢も攻略しました。

苦しい戦いが続く織田信長

このあたりから、信長は苦しい戦いが続きます。

1570年、度重なる上洛命令を無視する朝倉義景を討伐するため、織田・徳川連合軍で越前国に進軍しますが、義弟・浅井長政の裏切りにあい、撤退。わずか10名の兵とともに京に逃げ帰りました。同年、体勢を立て直した信長は姉川の戦いで浅井・朝倉軍に勝利。その後、摂津国で挙兵した三好三人衆を討つために出陣しますが、その隙に石山本願寺が挙兵し、その間に体勢を立て直した浅井・朝倉・延暦寺連合軍が近江国坂本に侵攻、信長は重臣・森長可と弟・織田信治を失いました。さらに、長島の一向一揆が起こり、弟・信興も失いました。

一方、甲斐の武田も京を目指して進軍を開始していました。駿河の国を併合後、北条氏と同盟を結び、三河徳川領へ侵攻を開始しました。東美濃の岩村城が落とされ、一言坂の戦いで徳川軍は武田軍に敗れ、さらに遠江国の二俣城も降伏。これに対して信長は3000人の援軍を送りますが、三方ヶ原の戦いで、織田・徳川連合軍は大敗してしまいます。さらに武田の進軍は続き、三河・野田城を攻略。京の足利義昭が信長に対して挙兵したため、背後の武田を気にしながらも、京の義昭に向けて進軍。正親町天皇からの勅命が出され、信長は、義昭と和睦しました。背後に迫っていた武田軍は、信玄の病死により、志半ばで甲斐に撤退しました。

武田の動きが止まったため、信長は体勢を立て直すことができ、長く対立してきた浅井・朝倉を滅ぼし、三好も滅亡させました。

この頃になると朝廷からも信長は無視できぬ存在になっており、1574年、信長は従三位参議に叙され公卿となりました。

1575年、信玄の後を継いだ武田勝頼は、織田・徳川領への侵攻を繰り返していました。武田から離反した奥平氏を討つため、勝頼は長篠城に攻め寄せました。しかし、信長と徳川の援軍が到着し、長篠の戦いが始まりました。信長は1000丁もの火縄銃を用い、武田軍に勝利。

その後、信長は権大納言に任じられ、右近衞大将も兼任。朝廷から「天下人」として認められました。

翌年、1576年、琵琶湖岸に安土城を築城開始。1579年に豪華絢爛な五層七重の城が完成しました。

天下人として戦う織田信長

朝廷から天下人と認められても、まだまだ戦いは続きます。

石山本願寺や雑賀衆との戦い、毛利水軍との戦い、苦しい戦いが続きます。

そんな中、信長は従三位から正三位・内大臣に昇進。1577年には従二位・右大臣に、3ヶ月後には正二位に昇進しています。

このあたりになると、織田軍の勢力は拡大され、同時期に多方面を攻撃出来るだけの兵力、財力が備わってきました。上杉には柴田・前田・佐々を攻略に当たらせ、武田には滝川・織田信忠。波多野には明智・細川。毛利には羽柴。石山本願寺には佐久間を配置しました。

まだまだ戦いは続き、中国侵攻、因幡、淡路、伊賀を攻略。高野山との戦いも始まりました。

1581年、甲州征伐も始まり、武田氏滅亡に向けて、進軍を開始しました。そして武田勝頼は自刃。武田氏は滅亡しました。これを脅威に思い、影響を受けた奥羽の武将も信長に下りました。

1582年、信長は四国の攻略、中国遠征のため、本能寺に逗留していました。

ところが、羽柴の援軍に送ったはずの明智が京に戻り、本能寺を襲撃しました。多勢に無勢。100名ほどの兵しか引き連れていなかった信長軍は明智軍に敗れ、信長は自刃。

燃え盛る炎の中でその苛烈な人生に幕を閉じました。

大河ドラマに見る織田信長 (主役編)

年表を見ると良く分かるのですが、家督を継いでからずーっと戦をしているのです。なんと激しい人生なのでしょうか?敗北し、裏切られ、それでも天下統一に向けて、凄まじいまでの情熱を傾け、諸国を統一していきます。

このような、苛烈な生涯だけでなく、ある点では人情に厚く、奇策を用いて戦に勝利し、政策においても革新的な考えで城下を発展させるなど、人としてとても魅力的な信長は、歴代大河ドラマでも2作品、メインとしたドラマが作られています。

第11作、「国盗り物語」(1973年1月7日~12月23日)と第30作、「信長 KING OF ZIPANGU」(1992年1月5日~12月13日)です。

第11作「国盗り物語」

斎藤道三が美濃一国を「盗る」姿と道三に後継者と目された織田信長の生き様を描いた作品。

斎藤道三を平幹二朗さん、織田信長を高橋英樹さんが演じられました。

当時20代の若手役者が揃い、颯爽としたエネルギー溢れる信長を演じられました。

第30作「信長 KINGU OF ZIPANGU」

これに主演された緒形直人さんは、繊細で優しげな面立ちをされており、これまでの激しい信長像とは違うイメージの信長を作り上げられました。しかし、信長の扮装をした姿は、教科書に載っている信長の肖像画にそっくりで、これまで信長を演じられた役者さんの中で一番似ていたそうです。

日本人ではなく、宣教師ルイス・フロイスの視点から織田信長を描くという手法がとられました。

そういえば、帰蝶(濃姫)役の菊池桃子さんも今までの濃姫とは一味違う可憐で可愛らしい帰蝶を演じられていて、印象深かったですね。

大河ドラマに見る織田信長 (主役以外)

主役ではありませんが、重要な役どころとしての信長は多くの作品に登場しています。

第3作「太閤記」

豊臣秀吉を主人公とする物語。

主役・秀吉に緒形拳さん。信長役は高橋幸治さんでした。

当時、視聴者から信長役の高橋幸治さんの助命嘆願が殺到し、本能寺の変の回が延期されたそうです。すごい影響力ですね。

第7作「天と地と」

石坂浩二さん演じる上杉謙信が主役の物語。

川中島の合戦で武田信玄と対峙するシーンは名場面ですね。

この作品の信長は、杉良太郎さんでした。型破りな戦国大名として描かれていました。

第16作「黄金の日日」

安土桃山時代、ルソンに渡り、貿易商を営み巨万の富を得た呂宋助左衛門の物語です。

自由都市堺、自由貿易を守るために一生を捧げます。

主役の助左には6代目市川染五郎さん。現在の松本幸四郎さんでした。面白い演出としては、太閤記で主役・秀吉を演じた緒形拳さんと信長を演じた高橋幸治さんが同じ役で出演されていました。太閤記との関連性を前面に打ち出した作品でした。

さらに面白いのは、第56作「真田丸」で松本幸四郎さんは、この黄金の日日での役と同じ、呂宋助左衛門を演じられました。38年後にも同じ役とは。はまり役だったんですね。

第19作「おんな太閤記」

佐久間良子さん主演で、豊臣秀吉の正室・ねね(北政所)の視点で戦国時代から大坂の役までを描かれました。

おんな太閤記での信長は、藤岡弘さんが演じられました。

秀吉の主君として、秀吉夫婦の祝いに訪れたり、浮気に悩むねねを励ますなど、人情に厚い一面と苛烈な言動で厳しい主君としてのあり方を強調されていました。

第21作「徳川家康」

滝田栄さん演じる徳川家康での信長役は、役所広司さんが演じられました。

明るく、元気な信長を演じられました。

役所さんはこの役で一躍人気を博し、翌年のNHK新大型時代劇「宮本武蔵」で主演されたそうです。

第26作「武田信玄」

中井貴一さん主演の武田信玄で、織田信長は石橋凌さんが演じられました。

この作品での信長は、まだ若く、天下統一へ突き進む戦国大名としてよりも、比叡山の焼き討ちや、将軍・足利義昭をないがしろにする冷酷な人物として強調されていました。

第35作「秀吉」

竹中直人さん演じる秀吉の信長役は、渡哲也さんでした。

その重厚な演技は、どちらが主役かわからないと評されたほどでした。

秀吉が誰よりも崇拝し、恐れ、尊敬していた信長にふさわしい、重厚で頼りがいのある、信長を演じられていました。

渡さん演じる信長に極めて大きな反応があり、渡さんが当初予定していた出演回数よりも4話も延長されたそうです。

すごい評判だったんですね。確かに、ワクワクさせてくれるドラマでした。

第41作「利家とまつ~加賀百万石物語~」

唐沢寿明さんと松嶋菜々子さんの、利家とまつ。

傾奇者の利家と、しっかりもののまつの出世物語でした。

「戦国最強のホームドラマ」と銘打たれた作品は、見ていてとても楽しかった覚えがあります。

戦国ものというと、あまり家族の楽しい一コマなどは出てこないのですが、この夫婦の物語は戦国時代の日常生活がよくわかるお話でした。

この物語の中の信長は、反町隆史さんでした。「で、あるか」という口癖がとても特徴的でしたね。

若々しく、クールで頼りがいのある、ハツラツとした信長でした。

第45作「功名が辻」

山内一豊と、妻・千代の出世物語。

仲間由紀恵さんと上川隆也さんが、演じられました。

仲間さんのしっかりとした千代と、千代に尻を叩かれながら頑張る一豊がとても楽しかったです。

この中の信長は、舘ひろしさんでした。

寡黙でありながら、威圧感あふれる信長を演じられていました。父の仇敵で暗殺まで試みようとした一豊が、心酔するカリスマ性を持った信長でした。

第46作「風林火山」

武田信玄の軍師・山本勘助の、士官から討死までの物語です。

隻眼で、足が不自由な勘助役は内野聖陽さんが演じられました。

この作品での信長は、佐久間二郎さんが演じられました。

第48作「天地人」

上杉景勝に仕えた、上杉家の家老・直江兼続の物語です。

主役の兼続は、妻夫木聡さんが演じられました。

「愛」という兜、本当にあったのかと驚いたことを覚えています。朗らかな直江兼続でしたね。

この作品での信長は、吉川晃司さんが演じられていました。威圧感溢れるクールな信長を演じていました。

第50作「江 ~姫たちの戦国~」

織田信長の妹、お市の方と浅井長政との三女・江姫の物語です。

時代に翻弄されつつも、前向きにしなやかに突き進む江姫の波乱の生涯を描いた作品でした。

上野樹里さん演じる江姫がとても元気よく、はつらつしていて気持ちが良かったです。成長後は凛とした女性としてとても魅力的でした。

幼少期の江姫に多大な影響を与える伯父・信長役は豊川悦司さんでした。江姫が慕ったかっこいい信長。夢などでよく登場し、江姫を導いていました。

第53作「軍師官兵衛」

豊臣秀吉に仕えた、軍師・黒田官兵衛の物語。

主役・官兵衛は、岡田准一さんが演じられました。

信長役には江口洋介さんでした。江口さんによると、従来のイメージに収まらない信長を目指したそうです。

本能寺の変では迫力のある立ち回りと潔い最後を見せてくれました。

第55作「真田丸」

「日本一の兵」と言われた、真田信繁(真田幸村)の生涯が描かれた物語。主役・真田信繁には堺雅人さん。

信長役は吉田鋼太郎さん。劇中で信繁から「竜のような人だ」と評されました。

信州の小県の真田家と、もはや天下統一までもう少し、という信長とではあまり接点がありませんでした。

あくまで真田目線でのドラマだったため、本能寺の変もナレーションだけで済んでしまいましたね。

第56作「おんな城主 直虎」

柴咲コウさん演じる直虎での信長は、市川海老蔵さんです。

威圧感たっぷりの、迫力ある怖い信長ですね。

阿部サダヲさん演じる家康が、信長に黙ってした企みがバレて、責められていましたが、いやあ、怖かったですね。

これから、どんな信長を見せてくれるのか、とても楽しみです。

市川海老蔵さんの織田信長の初登場回の「おんな城主 直虎」の第24回「さよならだけが人生か?」を見逃した方は、こちらをどうぞ。
https://www.tg-drama.com/naotora_024/

最後に

たくさんの方が演じた「織田信長」。

それぞれ作品にあった信長像が、描かれていました。成長物語だったり、部下たちを従わせ天下統一まで導くカリスマ性を持った信長だったり、強大な敵に立ち向かう生意気で風変わりな若造だったり。

主役からの目線で描かれる信長ですから、様々な面が見られました。

冷酷、残酷などと言われる信長ですが、領民を大切にするエピソードはたくさん残されています。商人たち、領民たちの生活を守るため、様々な政策を実施した優秀な政治家でもあります。身分にとらわれず庶民と分け隔てなく接し、優秀な人材を発掘、育成し、南蛮文化や新しいものを積極的に取り入れる姿勢も見せました。楽市楽座・関所の廃止・街道整備などの政策は有名ですね。

一方で、比叡山延暦寺の焼き討ちなどの苛烈や処置や使えない部下に対する厳しい一面もありました。

戦に明け暮れる日々、他を蹴散らし天下統一に邁進する姿、頼もしくもあり恐ろしくもあり、畏怖する存在であり、尊敬・崇拝する存在であり、複雑な魅力を持つ人物でした。

大河ドラマでたくさんの方の信長を拝見しましたが、それぞれに面白く、味わい深く、時に激しく、時に切ない信長ばかりでした。

今後の「おんな城主 直虎」での信長も、どんな人生を見せてくれるのか、とても楽しみで、期待しています。

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