NHK大河ドラマ「西郷どん」で松田翔太さんが演じる一橋慶喜(ヒー様)は、西郷吉之助と橋本左内にすぐに怒鳴り散らす気性の激しさをみせる反面、女性達には絵を描いてあげたり、井伊直弼には意見をビシッと言ったり、様々な顔を見せています。

「西郷どん」の慶喜で、私が気になった部分をドラマの内容を交えてみていくのと、加えて演じる松田翔太さんについてもみていきたいと思います。

期待された幼少期

一橋慶喜は、天保8年(1837)、江戸、小石川の水戸藩邸で生まれました。父は水戸徳川家9代藩主徳川斉昭。母は正室、有栖川宮家登美宮吉子です。

幼名は七男なので「七郎麿」。斉昭には早世した人を除いても十二男六女いました。

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嫡子の鶴千代麿は、のちに慶篤となり、水戸家の当主となりましたが、穏やか性格だったそうです。対して同じ母を持つ七郎麿は、気性の激しい性格だったそうです。

普通、大名の子どもは江戸の屋敷で育てられるのですが、父斉昭は幕府に願い出て、自分の子どもたちを国もとの水戸藩で育てていました。

七郎麿も水戸で育ち、文武両道の教育を受けました。武術の中でも馬術に秀でていて、先生の言う事を聞かず、常に我流だったといいます。そんな勉強や武芸に明け暮れる日々でも、合間には兄弟たちと一緒に遊び回る元気な子どもでした。

また、書道と画が上手く、襖や屏風の絵をまねする事が上手で、そっくりに描く事が出来たそうです。それから障子やふすまの張替え、壁塗り、調度品の修繕などの細かい作業も得意でした。ドラマでも女性の絵を描いてあげていましたね。

とまあ、なんでも出来た子でしたので、父斉昭は「天晴れ、名将とならん。されどよくせずば、手に余るべし。」と養子に欲しいという家があっても、なかなか出そうとはしませんでした。七郎麿の噂は12代将軍家慶の耳にも届き、跡取りがいなかった一橋家の養子に、という話が来ました。

一橋家は、将軍家の嫡子が絶えた場合、後継者に選ばれる御三卿の一つです。水戸も御三家で、同じく将軍家の後継者に選ばれる家ですが、まだ一人も将軍になれた人はいませんでした。

一橋家にいれば、自分の息子が将軍になれるかもしれない、と斉昭はこの話に乗りました。

こうして弘化4年(1847)11歳で一橋家の養子となり当主となりました。名前は将軍家慶の、慶の字を一字もらい「一橋慶喜」となりました。

ドラマを観ていて、名門の子息がキツイ言葉づかいで、人を威圧するなんて、ドラマの誇張では?と思い、幼少期をみましたが、誇張ではないかなと思いました。

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慶喜の愛妾、お芳

ドラマのなかで、高梨臨さん演じるおよし(ふき)と慶喜の仲が気になるところです。この「およし」は架空の人物です。一橋慶喜を調べていくうち、慶喜の妾のなかに「お芳」という女性がいる事を知りました。同じ名前だ!と思いましたので、次はその女性について、みていきたいと思います。

お芳は、3千人もの子分がいるという江戸下町の侠客、町火消しの新門辰五郎の娘で、行儀見習いで一橋家に奉公に来ていたそうです。

江戸にいる時はまだ、妾にはなっていなかったようですが、慶喜が禁裏御守衛総督に就くようになった時に、お芳を京へ呼んだようです。

その時、父辰五郎も娘の上京に合わせて上京し、子分200人くらいを引き連れ、慶喜の身辺警護をしていました。

お芳は、慶応4年(1868)に慶喜が大坂城から脱出して開陽丸で江戸に戻る時にも一緒だったといいます。しかし、江戸に戻ってから慶喜は謹慎生活に入ったので、それ以降は同行しなかったそうです。

慶喜の辛い時期に一緒にいたというお芳。ドラマにはもってこいの人物だと思うのですが、「西郷どん」には一橋家の様子が全く出てこないので、「お芳」の登場はなさそうです。

「西郷どん」の宣伝番組で高梨臨さんが、これから慶喜の敵となっていく吉之助に対して、どういう感情になっていくのだろう?と言われていましたので、まだおよしの出演は続くと思われます。

私は、この先ドラマでは、期待も込めて「およし」が慶喜の妾になっていくのではないかと予想します。

一橋慶喜が後見職でやったこと

禁裏御守衛総督に就く前に慶喜は、14代家茂の将軍後見職に就いていました。政事総裁職だった松平慶永と共に、幕政の改革を行っています。

その二人が幕府の要職に就けるよう動いたのは、薩摩藩主の父、島津久光です。久光は兄斉彬の遺志を継ぎ、藩兵1千人を率いて上洛。勅許を得てそのまま江戸城へ乗り込んできたのです。

改革の一つが参勤交代制の緩和策で、これまで在国1年で在府1年の年番だったのを、3年に1度にし、江戸滞在は100日。人質として府内に永住させている妻子の帰国も許しました。

あと、討幕派が洋式軍制を採用して幕府に勝ったイメージですが、実は幕府もフランスの援助のもと、軍制改革を行っており、幕府直属軍の戦備を向上させました。桂小五郎は慶喜を「徳川家康の再来」と恐れたほどでした。

それから、悪化する京の治安対策も行いました。従来あった京都所司代の上位に、京都守護職をもうけ、会津藩主、松平容保に就かせました。

幕政改革は幕閣からの反発が強く、後見職を辞めたあとに就いた禁裏御守衛総督で京に滞在している間に、江戸にいた幕閣に幕政改革のほとんどを元に戻されてしまったそうです。

改革も、幕府を崩壊させる一因を作る結果になってしまいました。

松田翔太さん出演の主なドラマ

続いて、演じる松田翔太さんについてみていきます。松田翔太さんは2005年に俳優デビューしました。今年、モデルの秋元梢さんとご結婚されました。

松田翔太さん出演の主なドラマをみていきます。

2005年「ヤンキー母校に帰る~旅立ちの時 不良少年の夢」、「花より男子」

2006年「トップキャスター」、「レガッタ~君といた永遠~」

2007年「LIAR GAME season1」(2009年 season2)、「女帝」

2008年「薔薇のない花屋」、「篤姫」

2009年「ラブシャッフル」、「名探偵の掟」

2010年「月の恋人~Moon Lovers~」、「流れ星」

2011年「ドン★キホーテ」

2012年「平清盛」

2013年「潜入探偵トカゲ」、「海の上の診療所」

2016年「ディアスポリス 異邦警察」

2018年「西郷どん」

役柄としては気の強い役から、「篤姫」の時の家茂役のような上品で穏やかな人の役、「平清盛」の後白河天皇のようなつかみどころのない役など、色んな演技をされています。

私の勝手な印象ですと、割と今回の慶喜のように、人に対して強気に出るような役柄が多いような気がします。

松田さんの目がキリっとしているので、そういう気の強い方がイメージに合っていて、しっくりくるからよく覚えているのかもしれません。

松田翔太さんの優しさ

以前「情熱大陸」で、写真家でもあるお母さまの松田美由紀さんに、撮影されているところを密着されていました。撮影の途中、二人の意見が合わなくなって、翔太さんが母に意見する、という場面で親子喧嘩か?と期待していたら、翔太さんが折れて撮影が進んだ、ということがありました。

私は、母親は身内だし、キツイ言い方で話すのだと思っていたのですが、翔太さんが美由紀さんのことをちゃんと「お母さん」と呼んでいて、話し方も優しいのに驚きました。

母親には一番気を許して素が出てきそうなところなのに、全くヒヤッとする事もなかったです。この場面を観て私は、翔太さんはドラマのような気の強いキツイ人じゃなくて、穏やかで優しい人なんじゃないかと思いました。

ドラマで慶喜はこの先、幕府と朝廷の板挟みに加え、外国からの圧力に悩まされながらも、粘り強く問題に当たっていきます。そして討幕派との戦いに敗れ、長い謹慎生活に入っていきます。

松田さんご自身は、イギリスへ留学したことがあるそうです。周りに日本人がいない環境で、孤軍奮闘したという経験は、幕末の四面楚歌状態だった慶喜の環境と少し似ているのでは?と思います。

松田さん演じる慶喜がどうなっていくのか、見続けたいと思います。