大河ドラマ「西郷どん」では、主人公・西郷隆盛が大きく関わった、幕末最大の戦いである戊辰戦争が描かれます。

ドラマでは、新政府軍側である西郷隆盛は「日本を切り売りする慶喜には、政治を任せられない。また生かしておけば必ず再興して新しい政治の邪魔をする」という大義をもって、旧幕府軍を討ちます。

そして旧幕府軍の大将である15代将軍・徳川慶喜は「朝敵という汚名だけは避けたい」と強く思い、戦から逃げてしまうというスタンスです。

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戊辰戦争において、フランスは幕府に、イギリスは薩長に協力して、兵器などを売り込みました。

この2カ国は、どうして日本という小国の2つの勢力に、それぞれ加担することになったのでしょうか?

また、その思惑は?史実における、世界からみた幕末の日本をまとめてみました。

なぜ、植民地化を免れたのか?

幕末の頃、清がアヘン戦争で破れ、次は日本も欧米に食い物にされるのかと戦々恐々とします。

しかしイギリスなどの諸外国は、下関戦争や薩英戦争などの小競り合いはありましたが、大規模な戦争を日本に仕掛けてくることはありませんでした。

そこには、それぞれの国に事情があったのです。

イギリスの事情

インドや中国などの植民地運営にコストがかさみ財政は赤字。自由貿易という形をとって、不平等な通商条約を結んで経済的に実質支配することで、利益を得る形に切り替え始めていた。

フランスの事情

植民地政策の遅れによりイギリスほどの国力はなく、イギリスを差し置いて日本に戦争を仕掛け、支配下に置くほどの力はなかった。

アメリカの事情

ペリー来航後に南北戦争が始まり、日本どころではなくなっていた。

ロシアの事情

いまだ帝政政治であり、他国ほどの経済発展をしていなかった。

日本の事情

日本は他のアジア諸国と違い、明治維新を起こして政治体制を整えたため植民地化されなませんでした。

しかし、欧米各国の上記のような事情により、辛くも植民地化を逃れている内に、明治維新を起こすことができたと言う見方もできるわけです。

もし南北戦争が起こるのがもう少し遅かったら?イギリスが植民地拡大政策を取り続けていたら?日本の歴史は変わっていたかもしれませんね。

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戦争終結で、兵器を売る市場を探していた?

欧米各国は植民地支配よりも、自由貿易による富の獲得にシフトします。

産業革命により、兵器の性能は格段に上がりました。

織物産業に続き、軍需産業という新たな産業が生まれたのです。

例えば、イギリスにあるアームストロング社は、ロシアとトルコが戦ったクリミア戦争が1856年に終結すると経営難に陥ります。そのため、アジア地域に向けて兵器を製造することで、経営の立て直しを図ろうとします。

また、戊辰戦争が始まったのが1868年です。それより少し前、アメリカ南北戦争が1861年から始まり1865年に終結。南北戦争で使われたのは、当時の最新鋭の武器である、ミニエー銃、エンフィールド銃、スペンサー銃などです。戦争終結によってアメリカの兵器市場が縮小、ダブついた銃などの兵器が上海市場に持ち込まれ、それが日本に回ってきました。

このように欧米の各国は、幕府と朝廷との勢力争いに目をつけ、兵器を売り込もうとしていたのです。とくに勢いの良かったイギリス・フランスが、イギリスは朝廷・薩長側に、フランスが幕府側について、それぞれ兵器を卸していたのでした。もちろん兵器だけではなく、他の貿易品も売り込んでいましたが、戦争が起これば必然的に兵器が大量に必要になるので、産業を潤すには好都合だったのです。

戊辰戦争は、イギリスとフランスの代理戦争だった?

薩長、つまり新政府側に武器を提供したイギリスに対し、幕府と綿密な関係にあったフランス。この点に注目して、イギリスとフランスの代理戦争だったのでは?という説があります。

確かにイギリスとフランスは仲が良くはありません。この当時、アメリカは南北戦争で大変なことになり、スペイン・ポルトガルも斜陽で、イギリスに対抗できる元気があるのは、フランスぐらいだったようです。

しかし、イギリスのクラレンドン外相の「いかなる内乱の場合にも、イギリス政府の政策は、中立を保持することである」という訓令にある通り、イギリスは局外中立を守っていました。フランスも基本的には同様です。というわけで、このイギリスとフランスの代理戦争だったという説は現実味がないと言えます。

とはいえ、薩長という下級武士の集まりである勢力が、王政復古の大号令というクーデターまがいのことをしたり、虚偽の密勅を出したりして、最終的に強大な徳川幕府を滅ぼしたのは、ものすごいことだと思います。さらに、徳川慶喜は江戸城を明け渡したのに、なぜ戊辰戦争は続いたのでしょうか?実は、イギリスの入れ知恵など、外からの意思が働いたのでは?と考えてしまいます。そうやって考えるのも、歴史の面白さの一つではないでしょうか。

最後に

一般的に教科書では、欧米の植民地支配から逃れるため、政治体制を一新して近代化を図ったのが明治維新だと習います。

しかし、実は諸外国の情勢によって絶妙なタイミングで植民地化を逃れることができた、という見方もできるのです。

このように欧米目線で見ると、幕末の歴史も少し違って見えてくると思います。